小さなキウイのブログ

映画の感想などを書いています。

台北暮色

台北暮色 2017 台湾

名匠ホウ・シャオシェン監督のアシスタントを務めた、ホアン・シー監督のデビュー作。

      

 

車の中で生活する男性フォン(クー・ユールン)。

母親と暮らす若者リー(ホアン・ユエン)、間違い電話が何度もかかってくるひとり暮らしの女性シュー(リマ・ジタン)。

 

この3人を軸に話は進んでいくのだけれど

大きな出来事や展開はなくて、

ただただ静かに淡々と過ぎていく。都会台北の普通の人々の暮らし、そして彼らと彼らに関わる人々の感情がリアルに揺れ動き描かれていく。

 

フォンは、両親が離婚し、辛い過去ゆえ、恩師の家でのいざこざに、人は近づき過ぎるとだめだいう。

それを聞くシュー。シューは、実は7歳の娘が香港にいるが、会わずにいて電話をしても当たり障りない会話だと打ち明ける。

 

リーはたぶん自閉的な傾向があるのかな、高架橋の下の水たまりを自転車で何度も走る(このシーンきれいだったなあ)。

家に帰るのも忘れるほどで、母親を心配させる。兄を亡くし、うまく言葉にできずに部屋で1人涙を流す。

皆それぞれ悩みや悲しみ、孤独を抱えている。

 

それでも出会い、泣いたり笑ったり時に衝突しながら時は過ぎていく。

 

最後にリーがフォンに、飛んでいる鳥は、一瞬は止まっているの?それとも動いているの?と質問する。

人生も止まっているようで進んでいて、動いているようで止まっているのかもしれない。

台北の伝統の人形劇や寺、緑ある自然、色々なものが混じりあった街の空気が伝わってきて、映画の中でなんだか旅をしたような気分になった。行ってみたいなあ。美しい映像で、とても心地よい映画だった。